VISIT JEJU

見知らぬ土地を旅するとき、地元の空気をそのまま感じたいなら伝統市場に行くべきという話がある。地元民には日常でありながら、旅行者には新鮮で新しい見どころを提供してくれるからだ。甫誠市場は、済州人の平凡な暮らしを映し出す鏡のような場所だ。済州特産のタチウオやアマダイに加え、キャベツやブロッコリーといった地元野菜を安価に購入でき、路地裏には隠れた名店を探す楽しみもある。最近、tvNの「驚きの土曜日」にも取り上げられた甫誠市場とその近隣の三姓穴などを合わせて、ちょっとした一日ツアーに出かけてみよう

済州空港から車で約20分の場所に位置する甫誠市場。1972年に設立されたこの市場は規模こそ大きくないが、50年以上にわたり培われてきた素朴で温かな雰囲気が魅力的だ。観光客よりも地元民が多い場所でもある。観光地として有名なオルレ市場や東門市場に比べて混雑が少なく、落ち着いて巡ることができる点も大きな利点だ。  

ハルラボン、メルジョッ（魚の塩辛）、豚肉、海産物に加え、陸地だと大型スーパーでしか見られないような珍しい西洋野菜が目を引く。一般的な伝統市場と同様、精肉店、鮮魚店、パン屋、餅屋などがバランスよく並び、若い旅行者向けのモダンな商業スペースもある。本場の空気をしっかり味わいたいなら訪れる価値がある場所だ。甫誠市場の名物といえばスンデクッ。tvN「驚きの土曜日」でもスンデクッ通りが重点的に取り上げられた。人気店以外にも長い伝統を誇る老舗たちがそれぞれ独自のレシピで腕を競っている。

昼に活気あふれる市場を楽しんだら、夜は市場近くの飲食店を訪問してみるのもおすすめだ。「ノリト」や「ライフイズエッグ」など、感性豊かな店で美味しいおつまみとともに軽く一杯飲めば、満ち足りた一日となるだろう。

▶ 所在地：済州 済州市 東光路1キル 32 

▶ 営業時間：毎日 09:00~20:00

▶ 駐車：周辺の公営駐車場を利用（甫誠市場駐車場など）

▶ おすすめ観光地

  - ノリト：済州 済州市 東光路1キル 28-1 1階

  - ライフイズエッグ：済州 済州市 東光路1キル 21 1階 

1994年に開店し、甫誠市場で30年以上も営業を続けているカムチョ食堂は、有名漫画家ホ・ヨンマンの漫画『食客』にも登場した済州スンデの名店である。済州ではお祝い事や家族イベントがある日は豚一頭をさばく伝統があった。その際、肉だけでなく内臓などの部位も余すことなく使ったため、スンデやスンデクッは欠かせない料理となった。

基本のおかずにはカクテキ、ネギキムチ、青唐辛子玉ねぎが出される。中でもネギキムチは「これだけでもご飯が進む」と高評価だ。最近、若者の好みに合わせあっさりとした味付けのスンデクッが多くなった中、ここのスンデクッは豚の旨味がしっかりと感じられ、マニアにはたまらない一杯に仕上がっている。もちもちしたスンデに加え、赤身肉や内臓もバランスよく入り、満足感が高い。珍しいマクチャンスンデもある。旨味たっぷりの済州らしい味わいのスンデクッは、家族や友人と訪れるのはもちろん、一人でハルラサン焼酎と共に楽しむのにも最適だ。店先には「食客ホ・ヨンマンの定食紀行」の撮影で訪れたホ・ヨンマン氏の写真が飾られており、その知名度の高さを物語っている。 

▶ 所在地：済州 済州市 東光路1キル 32

▶ 営業時間：09:00~20:30（L.O. 19:50、定休日は毎月1・3・5週目の日曜日）

▶ 駐車：周辺の公営駐車場を利用

朝鮮時代、馬肉は済州の主な献上品のひとつであった。馬の放牧が盛んだった土地柄、老いて死んだ馬を無駄にせず、食料として活用する文化が根付いた。一見美味しくなさそうでもあるが、実際に馬肉のユッケを食べてみると、牛肉より脂肪分が少なく、風味豊かである。済州以外ではなかなか味わえないため、グルメな旅行者にとっては外せない名物となっている。ビタミン、ミネラル、鉄分が豊富で、健康目的で食す人も少なくない。高い観光地物価が気になるなら、甫誠市場のような地元民向けの場所で食べるのが最も合理的である。

「ミジョンイネ」は、適正価格で上質な馬肉をたっぷり提供する店として知られている。注文すると基本のおかずとともに、少量の馬肉の刺身が提供される。ユッケ、焼肉、カルビチム、コムタンなど多様な馬肉料理が楽しめる。熟練の技でさばかれた馬肉ユッケをゴマ油に軽くつけて食べれば、柔らかい食感と旨味が口の中に広がる。初めて馬肉を食べる人でも抵抗なく楽しめ、観光客だけでなく地元民の常連も多い実力派の一軒である。

▶ 所在地：済州 済州市 東光路1キル 22

▶ 営業時間：09:30~21:00（定休日は毎週土曜日）

▶ 駐車：周辺の公営駐車場を利用

モチアワをお湯でこねて作るオメギトクは、元々は祭事や酒造りの材料として用いられていたという。現在は済州の代表的なお土産として浮上し、見た目や種類も華やかになり多くの人に愛されている。口コミで評判を呼び、オンライン販売も展開している「ミル・オメギトク」は、甫誠市場近くにある人気の餅店である。

全国どこからでも注文可能だが、済州の雰囲気を味わいたいなら、やはり現地店舗を訪れるのがよい。ここでは5種類のオメギトクを販売している。小豆、黒ごま、ナッツ、きな粉、柑橘など、すべて済州のローカル素材を使用している。購入者のレビューには「甘すぎずちょうど良い」「柑橘の香りがユニークで魅力的」といった声が多い。もちもちした柔らかい食感と、絶妙に美味しい餡が特徴。冷凍保存すれば長期間味が損なわれず、刺激が少なく体にも優しい。店を訪れれば、餅を手作りする様子も見られ、見る楽しさも味わえる。無添加で健康的ななオメギトクは、贈り物にも最適だ。 

▶所在地：済州 済州市 三姓路 25

▶営業時間：07:30~18:30（定休日：毎週土曜日）

▶ 駐車：周辺の公営駐車場を利用

甫誠市場で済州の味をたっぷり堪能したなら、次は周辺の観光地を巡ってみよう。徒歩圏内に済州の歴史と文化を感じられる場所が数多く存在する。温かみのある市場の風景とは異なる、都市の中に隠れた済州の本当の姿に出会えるはずだ。

甫誠市場で済州の郷土料理を楽しんだ後、散歩がてら立ち寄るのに最適なのが、三姓穴だ。ここは古代済州人の誕生神話が残る記念碑的な史跡だ。良・高・夫の三氏族の始祖神が現れた場所とされており、三つの穴は数メートルの間隔を置いて三角形に並んでいる。そのうち、海とつながっているという伝承がある上部の穴の大きさは6尺、残る二つはそれぞれ3尺である。 

現地では文化観光解説士による詳しい説明も受けられ、知られざる済州の歴史を学べる貴重な機会となる。毎年6月には「三乙那妃碧浪国三公主追遠祭」が、4月と10月にはそれぞれ春祭と秋祭が開催される。済州固有の建造物である乾始門、三星門、典祀庁なども当時の姿のまま保存されている。雨水や雪が溜まらないという三姓穴周辺には、クスノキやカヤの木などの古木が生い茂り、まるで神話の一場面のような神秘的な雰囲気を醸し出している。 

▶所在地：済州 済州市 三姓路 22

▶ 営業時間：毎日09:00~18:00（受付完了17:30、お正月、旧正月、チュソクは10:00開場）

▶ 駐車：専用駐車場あり（観覧客は1時間30分無料）

今年で開館41周年を迎える済州民俗自然史博物館は、火山島である済州の形成過程や自然資源、済州の人々の暮らしと民俗文化を総合的に展示する施設である。館内に入るとまず目を引くのは、実物大のナガスクジラの骨格標本だ。全長12.6メートル、重さ12トンという巨大さは、存在そのものが観覧客の驚きを誘う。

展示は民俗展示、海洋展示といった常設展示をはじめ、特別展示、野外展示、オンライン展示館など多岐にわたる。特別展は開催期間が異なるため、事前に公式サイトで確認するのが望ましい。年齢層に応じた教育プログラムや解説も用意されており、より深く済州を理解したい人には参加を勧めたい。 

▶所在地：済州 済州市 三姓路 40

▶ 営業時間：火曜日~日曜日 09:00~18:00（定休日は毎週月曜日）

▶ 駐車：専用駐車場あり（1時間以内1,000ウォン、以降30分毎に500ウォン加算）

1988年ソウルオリンピックの際、ギリシャから来た聖火が最初に韓国に到着した地、それが済州である。新山公園はその記念として設けられた場所だ。およそ24万平方メートルもの敷地には、聖火台の模型と、1995年の光復50周年を記念して1,250点の済州の文化財が納められたタイムカプセルがある。 

この公園は記念遺跡としての意義だけでなく、ゲートボール場、バドミントンコート、子供の遊び場などが整備された市民の憩いの場としても親しまれている。散歩道も整備されており、ペットを連れてのんびりと散策するのにも適している。春には桜が満開となり、秋には落ち葉が地面を彩るなど、訪れる人に癒しを与える魅力的な場所である。

▶所在地：済州 済州市 一徒2洞 830

▶ 駐車：周辺の公営駐車場を利用